【高村先生】第二章比喩表現解説(1.編)
※「比喩=対象を別のものに例えて表すこと」だと理解して使用しています。厳密には比喩ではない表現もあるかもしれませんがご了承ください。
① 比喩表現解説[1.向日葵色のエール編]
1. ただ、これから毎日あてもない人探しをすると思うと、不安で胃が痛くなる。まるで夜空から七等星を見つけだすような不屈の精神が必要だ。
└七等星……ドヤァ( ・´ー・`)✧*.・ ちなみに肉眼で見られるギリギリは六等星までだそうです。個人サイトが盛り上がっていた頃、その中でもなかなか閲覧者が現れないサイトたちを集めたサーチがありまして、それがたしか『サイト六等星』という名前だったかな。六等星みたいに淡く目立たないけれど輝いていますよ、という意味が込められていたと思います。(現在は閉鎖済)それをふと思い出した縁もあって、さらに見つけにくい七等星を使用しました。
2. 俺は降りたチャリを押しながら、駅を目指す人の流れに合流する。はじめは清流のようだったそのスピードは、改札口が近付くにつれて濁流へと変化してゆく。スーツを着た兵隊たちの威圧感に戸惑いながらも、俺は雑踏の中に消えた顧問の姿を探した。
└川の流れのように&兵隊のマーチ比喩。革靴をコンコン鳴らして改札に向かう様子を兵隊さんに例えるのはあるあるですね。狭い商店街をずんずん進んでゆくサラリーマンたちに圧倒される武良波の姿が浮かぶと嬉しいです。
3. 〈父親〉の肩書きを持つ他人から、気晴らしを兼ねて殴られるに違いない。親の金に依存している以上、無事高校を卒業することが最優先だ。そして今年、十八歳の誕生日という『平日』を迎えて、母さんを保護責任から解放してあげることが……俺にできる一番の親孝行なんだ。
└比喩ではないですが、継父のことをこう書いてみました。「継父」や「義理の父」でもまだ愛情が見える気がして、完璧嫌ってる感を出したくて「〈父親〉の肩書きを持つ他人」名義にしました。つまり、武良波の母親はすでに別の家庭を持っていて、そちらで普段暮らしているという設定です。継父のことはそう呼ぶけど、そんな母親のことは「母さん」と呼んでいるところに、切っても切れない血の切なさを感じていただけたら幸いです。
② サブタイトルの色解説
“向日葵色は、ヒマワリの花のようなあざやかな黄色です。比較的新しい伝統色で、19世紀後半に登場した化学染料により、あざやかな発色が可能になったため生まれました。(暦生活様より)”
幼稚園バスに乗る園児たちが手を振ってくれた様子を、武良波がヒマワリ畑に例えたシーンからとりました。ものすごくローカルな話で恐縮ですが、小説の舞台は神奈川県の相模原市周辺です。隣り合う座間市はヒマワリが有名で、毎年「ひまわりまつり」が行われています。市のゆるキャラ「ざまりん」もひまわりがモチーフなんですよ~🌻 そんなこともあり、このヒマワリの比喩が舞台によく馴染んでいて、個人的に気に入っています。(そしてわかる人にはわかる「ミリオンロード商店街」の元ネタ……)
比喩表現解説は、本編の公開に合わせて更新してゆきます。ではまた次回ノシ
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